読むと捗る「怪談参考図書」

 どうも、こんばんわ。

 ここでは、「bk1怪談大賞」に投稿する方々が、参考にしたらいいんじゃないかなと思う書籍を、勝手に上から目線でご紹介いたします。
 仕事中になんとなく思いついたので、休み時間にちょこちょこ書いてみました。

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『怪談文芸ハンドブック』東雅夫
http://www.bk1.jp/product/03093326

 みんな大好き! 殿下こと東雅夫氏による、怪談文芸入門書です。
 怪談というジャンルについての基礎的な情報を得るには最適ですし、読みこめば(少なくとも東氏の)選出傾向を把握し対策を練ることができるかもしれません。

 お勧め度:


小泉八雲集』小泉八雲
http://www.bk1.jp/product/01229188

 怪談(KWAIDAN)といえばこの人、な小泉八雲ラフカディオ・ハーンの作品集です。
 正直、彼の邦訳は幾つもの文庫から出ているので、別に新潮じゃなくてもいいのですが、個人的にはこの訳が一番いいなと思ったので、これをおすすめします。
 個人的なお気に入りは、「幽霊滝の伝説」と「破られた約束(破約)」。どちらもこの世ならざる者の脅威とゴアシーンが魅力です。
 怪談の古典的名作ですが、それだけに昔から変わらぬ怪談の魅力に溢れ、これから怪談を書こうとする人のお手本となることは間違いないでしょう。

 お勧め度:


『影を踏まれた女』岡本綺堂
http://www.bk1.jp/product/02674004

 小泉八雲が「和風怪談好きの外人」なら、岡本綺堂は「洋風怪談好きの日本人」。英米ホラー、中国志怪を研究し、なお本邦怪談を愛し、その融合をはかったような綺堂の怪談は、どれも和風のしっとりとした雰囲気に洋風のはっきりした味が含まれていて、今読んでもうならされます。
 文庫では、これが今一番手に入れやすいはず。傑作連作怪談集「青蛙堂鬼譚」が入ってますから、まずはこれを読まれるといいと思います。

 お勧め度:


『百物語』杉浦日向子
http://www.bk1.jp/product/01869925

 江戸文化研究家として、あるいは『お江戸でござる』の名解説者として有名な、故・杉浦日向子氏の傑作怪談漫画です。
 どれをとってもこの世ならざるものたちの存在感に満ち、不気味な、けれどどこか懐かしい虚ろの存在感に、ぞっとするだけでなく満ち足りた気分になるお話が全部で九十九話、これで千円以下は安い。
 中身は元ネタアリのものもあり、創作なのかというものもあり。特に前者に関しては、その元ネタと付き合わせることで、アレンジの妙を知ることができるでしょう。 
 多くの人に共通する「怪談の雰囲気」とは何か、自分の肌で触れて味わってみるには最適の一冊だと思います。

 お勧め度:


『鳥肌口碑』平山夢明
http://www.bk1.jp/product/02566316

 現代の恐怖と怪奇を語らせれば随一、と思うのが平山夢明氏。『東京怪談』シリーズや『超怖い話』シリーズで有名で、特に異常な人間の恐怖、アンダーグラウンドな世界の陰惨な話、猟奇譚を書かせたら右に出るものはいないと思います。
 しかし、今回は怪談関連のもの、ということにしているので、そういうものがそこそこ入っていて読みやすいこれをご紹介。一読すれば、恐怖を盛り上げるための演出方法の参考になることでしょう。
 ただ、平山氏の作品はどれも特殊で、ただ丸写ししたようなものでは、あの独特の雰囲気は出ないものと思われます。特に異常心理もの、アンダーグラウンドものは、そのまま真似しても怪談とは言えない場合があります。あくまで参考程度にしておきましょう。

 お勧め度:


てのひら怪談』シリーズ
てのひら怪談
http://www.bk1.jp/product/03005130
てのひら怪談 己丑』
http://www.bk1.jp/product/03120001
てのひら怪談 庚寅』
http://www.bk1.jp/product/03273444
てのひら怪談 辛卯』
http://www.bk1.jp/product/03410881

 最後はやっぱりこれ、みんなが書いて集まった『てのひら怪談』シリーズ。
 参考にしてもよし、楽しんでもよし、おこづかいに還元してもよし! と重宝すること間違いなし。
 そして、各巻の巻末解説は、どれも「怪談とは何か」を考える上で貴重なヒント(あくまでヒント)になりますので、ここも見逃さず目を通しておくべきと思います。

 お勧め度:

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 こんなところでしょうか。
『怪談文芸ハンドブック』以外はすべてフィクションものですが、習うより慣れよの言葉通り、やはり実作に触れた方が手っ取り早くノウハウを吸収できると思います。
 ただ、基礎的な知識は必要かと思うので、そこはやはり『怪談文芸〜』を紐解くとよろしいかと。

 といったところで、じゃあ、おやすみなさい。

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